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オリンパスペンの巻上げ修理2013年04月21日

前回)からの続きです。
今回の Olympus pen の修理で苦労したのは、

  トラブル1.シャッターがチャージされずにフィルムがどんどん巻き上げられることあり
  トラブル2.巻上げホイールがロックして動かなくなることあり

の二点でした。その修理過程を記します。

まずは、軍艦部を外した状態。
オリンパスペンの修理開始
ボディ本体の上に、右から枚数形と巻上げホイールが見えています。
カメラ機構の観察のために、これらは上に引き抜いておきます。

次に鏡胴も外して、下の写真のようにシャッターの羽根やガバナーを
ベンジンで洗うなど、お決まりの手順を踏みました。
シャッター羽根の清掃
ここまでで、鏡胴内のシャッター本体だけは問題なく動作するようになりました。

この後はお手本の無い世界なので、カメラの動作を学びながらの作業です。
まず、シャッターチャージのメカニズムを確認します。

・下はシャッターを切った直後の写真
(巻上げホイールとその下にある巻上げギアは外してあります)
シャッターを切った直後
この状態からフィルム巻上げホイールを回すと、
同軸下部にある雲形のカムが左回転して、
シャッターチャージ用レバーの爪を押し、レバーが右回転します。


・チャージ完了直前の写真
チャージ完了直前
シャッターチャージ用レバーの上端に取り付けられたコイルバネが右に動いて、
シャッターユニットから飛び出した爪を右に引っ張ってチャージします。
この時、コイルバネが十分に右側に進まないと、
シャッターがチャージされずに元に戻ってしまうことが分かりました。
そうなると、フィルムがいくらでも巻けてしまいます。
トラブル1.の原因判明!

・解決策の写真
チャージ不能の対策
レバー下端の爪を、ペンチでカム側に僅かに寝かせて、カムの効きを大きくします。
その結果、コイルバネが十分に右に移動して、
確実にシャッターチャージされるようになりました。

・シャッターチャージされた直後の写真
チャージ完了直後

・上の状態で、雲形カムを取り除いた写真
二重巻上げ防止機構
二重巻上げ防止レバーの位置を確認します。
また、巻き上げホイール&雲形カムと同軸の「二重巻上げ防止カム」の位置に注意。
この状態で、更にフィルムを巻上げようとホイールを左回転させても、
同軸で左回転しようとするカムの行く手がレバーによって塞がれているので、
二重巻上げはできません。

・シャッターを切った状態の写真
シャッター切って巻上げ可能
二重巻上げ防止レバーが左回転して当初の位置に戻り、
二重巻上げ防止カムが左回転するためのスペースが空きました。
つまり、次の撮影に備えてフィルムを巻上げることが可能になっている訳です。

・巻上げトラブルに陥った状態の写真
(本当は巻上げギアの下に隠れている二重巻上げ防止レバーとカムを
 半透明で見せています)
巻上げロック状態
フィルム巻上げホイールとギアが逆回転(右回転)するのを防止するための爪があります。
これを便宜上「鳩形爪」と呼びます。鳩がひっくり返っているでしょう。
写真はこの鳩型爪(の鳩のクチバシ)、巻上げギア、二重巻上げ防止カム、同防止レバー、
この4部品が、まったく遊びがなくタイトに押し合ってロックされた状態です。
シャッターチャージが終わった時に、この状態に陥ることがありました。
こうなると、シャッターを切っても、
二重巻上げ防止レバーが左回転せず、巻上げ防止機能が開放されません。
トラブル2.の原因も判明!

・解決策の写真
ロック状態解決策
二重巻上げ防止カムの赤色の部分を少し楔形に削って、
カムとレバーが接触する部分を少しルーズにします。ロックしにくくなります。
また、鳩さんのクチバシと巻上げギアの歯先に注油します。
この部分がロックしにくくなります。

これらの対策を行うことで、
シャッターチャージ及びフィルム巻上げのトラブルは解決しました。
3日間苦労した甲斐がありました。
ただし、ペンのこの部分は各種部品の微妙な形状と、
各種バネのこれまた微妙な強弱のバランスで成り立っている所なので、
同一症状のトラブルでもその原因は何種類もあり得そうです。
その辺がジャンクカメラを分解し観察してみて興味深いところです。
...(続く

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