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ミノックスMinoxフィルムの現像2014年08月30日

前回)からの続きです。

Minoxの三種の神器」の最後は、次のミノックス専用の現像タンクです。
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写真とカメラを趣味として、関連のアクセサリーなどに手を出していると、
「おお!こんなものを開発した技術者がいるんだ!」
と感激することがあります。
このミノックス専用の現像タンクも、そのような工夫に満ちた製品です。
古いものですが、オークションサイトで数千円で入手できます。
これを使ってみると、
この製品の考案者がアレコレ考えながら、そして楽しみながら、
現像タンクの設計をしたプロセスまで感じ取ることができます。

この製品はデイライト(Daylight)現像タンクと呼ばれるように、
全ての作業を明るいところで行うことができます。
その意味では、ダークバッグを必要とする35mmフィルムより扱い易いとも言えます。
その作業手順を以下に詳述します。(私自身の備忘録でもあります)

1.フィルムの取出しと準備
撮影後のフィルムカートリッジをカメラから取出した時の状態には、
次の三種類の状態があり得ます。
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撮影が進むと、フィルムは左から右方向へ巻取られ、
規定枚数を撮影した普通の状態は「A」です。
ちょっと余分に撮ると「B」の状態になることもあります。
「C」は、フィルム長さに対して撮りすぎて、フィルムの後端部まで巻取られた状態です。
この全てを「B」の状態に持って行きます。
即ち、「A」の場合はフィルムの後端部が現れるまで、手動で少し右へ送ります。
「C」の場合は、面倒ですが、ダークバッグの中でカートリッジの蓋を開け、
フィルムを少し元に戻してあげることになります。
次は穴あけです。
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この写真のように、フィルムを4〜5cmほど引き出し、
端から2cmの所へパンチ等で穴を開けます。

2.タンクへのセット
現像タンクの構成は次の写真のようになっています。
(ストップリングの使用は必須ではありません)
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これを使った現像作業としては、まず、ドラムを蓋の中央に捩り込みます。
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ドラム下端の金具がフィルムの取付け部です。
蓋の下側の出っ張りには、フィルムカートリッジが丁度はまります。
カートリッジから引き出したフィルム端部を、クリップと留め金に次のように止めます。
05a

3.フィルムの巻き込み
このドラムと蓋をタンク本体へしっかり差し込みます。
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この状態から、ドラムだけを反時計方向へ回転させます。
すると、タンクの中で、フィルムがカートリッジから引き出されて行きます。
フィルムが出切ると、それ以上回せなくなるので、そこで回転を止めます。
次の写真の状態になります。
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模擬フィルムを使って、タンク中のドラムの状態を再現すると次のようになります。
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コンパクトながらフィルムの乳剤面が完全に露出され、
なかなか感動的な美しさです。

4.現像
フィルムの巻き込みが済んだら現像液を約53cc注入します。
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この写真で、蓋の左側の小さなプール状の所に液が溢れて来たら止めます。
この後はカラーや白黒など現像液の処方通りの手順を踏みますが、
ミノックス現像タンクの場合、撹拌の方法が一風変わっています。
次の写真のように、液温計をドラム中央の穴にゆっくり出し入れし、
タンクの中の液を撹拌するのです。
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液温計の出し入れにともなって、
小さなプールに溢れた液が潮の満ち引きのように上下するので、
中の現像液が有効に行き来していることが確認できます。

5.水洗と定着
現像が済んだら液を排出し、流水で20秒ほど水洗します。
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水洗水を排出し、白黒フィルムであれば、次は定着液の注入と撹拌を行います。
(カラーの場合は、漂白から定着という手順を踏みます)
これは現像液の場合と同じ要領で行います。

6.水洗
定着が済んだら最後の水洗を10〜20分ほど行います。
これはタンクに入れたまま行っても良いし、もう光に当てても問題ないので、
タンクから出して流水にさらしてもかまいません。

7.乾燥
水洗後、私の場合は次のように水滴防止剤に一分間浸けています。
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その後、ドラムを回転させてフィルムをたるませ、
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ドラムから取り外したフィルムを次のように吊るします。
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カートリッジは重し代わりに付けたままにしてあります。

8.完了
風呂場に吊り下げると3時間ほどで乾燥するので、
適当な長さに切り分けて、スリーブに入れて保管します。
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この写真のように35mm用のスリーブで兼用しています。

この後は、スキャナでパソコンへ取込みます。その手順に付いては、
Rollei A110-110フィルムをスキャン」と同様です。
或は白黒フィルムの場合は、
キクKIKU16の撮影と現像」で試したようなデジカメを使う方法も可能で、
こちらを推奨する方が多いようです。

(終り)