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映画『横道世之介』、フィルム好きは必見!2013年12月12日


恋人に撮ってもらった写真
昔の恋人が撮影してくれた自分の写真が、十数年の時を経て自分の元に届けられたら、一体どんな気持ちになるでしょう?
上の写真の「祥子(ショーコ)」の表情がそれを表しています。
これは映画『横道世之介』の一シーンです。
ヒロインの「祥子」はかつての恋人「世之介」が自分のポートレートを撮ったとき、
「誰よりも先に、私にその写真を見せてね」と要望しました。
その約束は、十年以上経って、もうすっかり忘れられた頃に果たされました。

・横道世之介:法政大学に入るため宮崎の港町から上京した青年。
・与謝野祥子:残土処理業者の娘。金持ちのお嬢様。

教習所仲間のダブルデートがきっかけで恋仲になる二人のちょっとおかしな物語なのですが、単なるラブコメ以上の映画です。
2013年公開邦画の中のベストかも知れません。私はツタヤのDVDで見ました。

主人公の世之介は、「あいつと知り合って、俺は人生で一つ得したような気がする」と友人に言わせる人物です。
ある意味で、現代のキリストとも言えるかも知れません。
私はこの映画を見て、今年は一つ得した一年だったなと思いました。

映画評はその程度にして、私が特に気に入ったのは、主人公とカメラの関係です。
次の写真は、アパートの隣室のカメラマンに借りたカメラで、世之介が祥子を撮影する場面です。
世之介、祥子を撮る
カメラをアップにするとこう。
カメラはCanonⅢ型
これは戦後間もなく発売されたキャノンのレンジファインダー機です。
(多分キャノンⅢ型、と思ったらⅣSb型らしい。外見同じ)
原作ではライカだそうですが、いずれにせよこのタイプのカメラが映画の雰囲気に合っています。

彼はためつすがめつカメラを眺め回しながら、街の風景と人物を撮りまくります。
カメラをためつすがめつ

街の風景を撮影する楽しさ

私も、小学生の頃はフジペットで、
中学以降はミノルタSR-7で家族や旅行の写真を撮ったこと、
また大学後半で手にしたNikon_F2と交換レンズで目白の風景を撮影したことなどを思い出しました。

そして、私はこの映画を見ながら、
画面の雰囲気が最近の映画とちょっと違うなと気が付きました。
撮影されたのは2012年なので、
普通であれば撮影機材等は全てデジタルに置き換わっているはずです。
でも、色の乗り方がフィルムっぽいのです。
これはカメラマンが遊んだな、と思いました。
調べてみると私の推測通りでした。
「もうこの機会を逃したら絶対35ミリフィルムでやる機会ないなって思った」映画監督とカメラマンが、デジタル撮影機ではなくフィルムを使うことに決めたそうです。
やっぱり!
その効果は絶大です。フィルムで撮っても、最終的にはデジタルで配信されるしDVDも作られるのですが、やはり最初に「水(フィルム現像液)」を使うことで画面に潤いが生まれるのです。
フィルム好きの人間には、そのあたりも見どころの一つと思います。

監督 沖田修一、撮影 近藤龍人
原作は毎日新聞の連載小説。
作者は吉田修一、妻夫木聡と深津絵里が主演した映画『悪人』の原作者でもあります。

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