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カラー現像は度量衡から2024年03月02日

カラーフィルムの現像のために温度計を買い足しました。
普通のガラス棒の水温計とデジタル水温計です。
カラー現像用液温計購入

現像液の液温を測ったり、湯煎用の水温を測ったり、
同時進行で複数の液温測定が必要になるためです。
先日もそれらを駆使して現像をしていたところ若干の違和感を感じました。
何かバラついているような気がしたのです。

今更ながら商品仕様書を調べてみると、
今回購入した製品を含めて
市販の液温計の精度はほとんど『±1°C』となっていました。
「ええっ!そんなにアバウトなの?」と思いました。
これまで使ったことのある現像液のレシピの中には、
「37.8±0.3°Cの液温で現像時間は3分15秒」
なんて素人には無理そうな事が平気で書いてありました。
本気でこの精度を守るには『±1°C』の精度の温度計では役に立ちません。

とにかく現状把握のために手持ちの温度計をテストしました。
次の四つについてです。

・MINOX用(ミノックスの現像セットに付属)
・旧温度計(パターソンの現像セットに付属)
・クレセル長棒(今回購入)
・ニッソーデジタル(今回購入)

テストA:約30度弱の水を測定
液温測定A

テストB:約40度弱のお湯を測定
液温測定B

結構バラついていますね。
この結果を下図のグラフにまとめてみました。
各温度計について、オレンジ色の縦長部が『±1°C』の誤差の範囲であり、
それらを横に串刺しした点線エリアが真の液温を示しているはずです。
温度計テスト結果

そうなると、
最も信頼のおける液温計は今回購入した「長棒」タイプになります。
一方、短棒の方は長棒より常に約1°低いです。
これって非常にまずい事態です。
なぜなら、ここ10年ほど私がカラーや白黒のフィルムを現像する時に
使用していたのは、この「短棒」なのです。

ということは私がこれまで作業していた現像環境は、
あるべき環境より常に1°C高かったことになります。
地球温暖化の一因がこんなところにも。

カラーフィルムの現像「安早楽」2024年03月09日

今時高価なカラーフィルムを「何と8本!」も消費して、
マリックスのカラー現像液を試してみました。
やっと手の内に入ってきて、今後も使えそうな感じなので、
使用上の注意点等について今後の方針としてまとめてみました。
最適なカラー現像
解説書の推奨処理温度は38°Cとされていますが、
今回は私にも液温管理がしやすい30°C〜35°Cについて
何分ぐらい現像するとどういう結果になるか実験したわけです。
結論としては、液温と現像時間が上図の水色縦縞の範囲となるような
組合せで現像した場合に良好な結果を得ました。
例えば、右端の30°Cで約11〜12分という組合せは結果良好でした。
この組合せであれば、温度も高すぎず作業時間も短すぎず、
現像作業がとても楽に行えます。

適正露出で撮影したフィルムを、このように適正に現像すれば、
スキャニングの時も初期設定のままで良い画像データが得られます。
例えば、晴れの日は次のように明るく、
01
曇りの日は次のようにおとなしめの画像が得られます。
02

なお今回は実験ですので、短かすぎる現像時間も試してみました。
最初の図で「不良」判定した左上の黄色の丸がそれです。
本来35°Cの液温なら5分掛けるところを4分で切り上げたのです。
その結果、次のように寝ぼけた画像になりました。
(スキャン時の補正は特に行わない画像です)
03
しかし、これは失敗かというと一概にそうとも言えません。
実は、切り捨てた時間分はデジタル処理で補うことができちゃいます。
元の寝ぼけたデータも、LightroomやPhotoshopで調整すれば
次のような画像に仕上がります。
04
結構いけますよね。ディテールも表現されています。

今は普通に写真店に現像を頼むと、
見栄え重視のためかコントラストの高い仕上がりになりがちです。
コントラストが高すぎるとハイライトは飛び、シャドーは潰れます。
それよりは、寝ぼけているようでもディテールを残した画像を得て、
それを自分好みにデジタル処理する方が正解です。
私は通常、ウェットな自家現像の後にデジタル現像もするので、
フィルム現像の結果について、許容範囲はとても広いです。
とは言え、最初の段階で理想に近づくに越したことはないので、
これからは最初の図の「今後の方針」に示した通り、
液温+現像時間=41 にて適正に処理していこうと思っています。

▪️さて次にカラーバランスの件。
これは高戸橋の都電橋桁の微妙な緑色をフィルムで撮ったものです
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次のiPhoneと比較してほぼ同じ色合いですが、ある意味まぐれです
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二つ目は南蔵院のお地蔵さんの頭巾の赤をフィルムで
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これを次のiPhoneと比較すると、
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このiPhoneの赤は作りすぎかな?と感じます。
フィルムの発色とデジカメの発色を比較すると、
好みは別としてフィルムの場合は再現性は気まぐれです。
いろいろな要因でカラーバランスは揺らぎます。

このカラーバランスの問題は今でもクエスチョンです。
正直、出たとこ勝負の感じもあります。
問題解決の手がかりが薄い中、少し参考になりそうな文章が、
以前使ったことのあるCineStill-Csという現像液の解説にありました。
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ここでは低温で時間が長くなるほど攪拌の頻度を下げるような指示がありますが、その攪拌の役割は、写真の濃度やコントラストを適正にすることだと私は思っていました。
でもそれだけではなさそうです。この解説の最後に、
「不十分な攪拌の赤へのシフト/過剰な攪拌のシアンへのシフト」
と書いてあるでしょう?
攪拌の仕方は、写真の濃度やコントラストに関わるだけでなく色合いにも影響するみたいです。
まだ研究の余地がありそうです。

▪️次に色ムラの件。
実験当初、次のような悲惨な画像が数枚ありました。
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いわゆる色ムラですね。
これは、現像液が次のプロセスまで持ち込まれて、
部分的に悪さをしているためと推測できます。
私が、これまで幸いにも酷い色ムラを経験していなかったのは、
次工程の液(漂白or漂白&定着液)が、
現像液の能力を直ちに停止するだけの化学的能力を持っていたからかもしれません。
いずれにせよ漂白工程前に、現像液を無効化する事が必要でした。
まず60秒ほどかけて十分に水洗する事を試してみました。
これで色ムラは一応解消しましたが別の問題が起きました。
現像工程と漂白工程の間に1分間も水洗をしていると、3.5分とか7分とかのいわゆる現像時間の終わりはどこなのか決められないですね。
それで、処理液が一種類増えるのは手間でしたが、
「停止浴」を導入することにしました。
まあ、クエン酸(15g)を水(1リットル)に溶かすだけですから無害だし気安く使える液体ではあります。

▪️次に現像タンクへのフィルム装填の件。
私の使用しているパターソンの現像タンクは安くてコスパが良いです。
攪拌棒の回転により攪拌できるので、薬液で手を汚さずに済みます。
もっとも、最近は入手が難しいらしく、それが難点ではあります。
11A
このセットでフィルムをリールに巻く作業には少しコツがあります。
上手くやらないと、巻き始めにフィルムが突っかかったりします。
それを避けるために、
作業開始前にフィルム巻き込み戻り防止のベアリングボール
(次の写真で中央に写っている銀色の玉)
を空フィルムを前後に滑らせることにより掃除しておくことにしました。
11
これで、ボールの転がりが良くなり、
フィルムをスムースに巻き込む事ができるようになりました。

▪️最後にアンシャープマスクの件。
これは現像の済んだフィルムをスキャンする時の課題です。
デジタル処理で画像の精細度を上げる「アンシャープマスク」をかけるかどうかです。
以前と言っても既に10年前になりますが、
「EPSONスキャナ画質比較」(http://mejiro.asablo.jp/blog/2014/06/14/7343806)
をした事がありました。
その時に使用したのは120のブローニーフィルムでした。
このフィルムは画像サイズに余裕があるので、
アンシャープマスクをしない方が良いかな、という気分でした。
さて問題は今回の実験で使用している135(35mm)フィルムです。
最近はデジカメのカリカリ画像に目が慣れてしまって、
フィルムカメラで撮影した写真の緩さに、
若干物足りなさを感じることもあるかも知れません。
(特に昔の高級機や高級レンズで撮影した場合は尚更)
比較例として、次はマスクなしの写真の拡大画像です
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次はマスク「強」とした場合です
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これらを見比べると、やはりかけた方が良いかなって思いますね。
でも、昔の「ズミクロン画質」とか言っていたような精細な画像が、
スキャナの設定ボタン一つで実現してしまう安直さに、
ちょっとタメ息。

接触不良は基本のキ2024年03月21日

6年前に真鍮製の電車を作りました。
久しぶりに取り出してみたらギクシャクした走りです。
車輪やレールを掃除してもいまいちです。

それで、車輪の集電装置部分をチェックしてみると、
車輪の裏側に汚れが付着していました。矢印の部分です。
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ここにモーターにつながる板バネ4枚(下図)が接触して
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レール→車輪→板バネ→モーター
と電気が流れて電車が走るのですから、この汚れはマズイです。
早速、綿棒にアルコールを含ませ、
車輪と板バネを掃除しました。
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掃除直後は順調に走りました。

でも、何周かしていると又おぼつかなくなりました。

そこで、カメラの修理でも何度か使用してみた
接点復活スプレーを使ってみることにしました。
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次のようにプラキャップにためた少量の液を
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極細のマイナスドライバーの先端につけ、
接点部分に含ませました。
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すると不思議なことに動き一変!
とっても滑らかに走ってくれるようになりました。

正直こんなに効果があるとは思いませんでした。
魔法のようだけど、とにかく上手くいって万歳!!