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理想の二眼レフを探して4:ブリキ細工の二眼レフ2019年02月25日

前回)からの続きです。

中古カメラ市場には一つの法則性があることが分かりました。
「爆発的に売れるほど人気のあったカメラは、中古市場では見向きもされない」
ということです。
なぜなら、一番大切な『希少性』が無いからなんですね。
その代表例の一つが、次の写真の中央、
" リコーフレックス RICOHFLEX " です。
私の修理を待っている3台の二眼レフの最後です。
二眼レフ修理待ち
カメラ好きの私にしては、不覚ながら、
つい先日までRICOHFLEXシリーズの存在を知りませんでした。
ところが、何かの拍子で眼にして、
私好みのフォルムに惹かれてしまったのです。

このシリーズには10種類以上のバージョンが存在しますが、
その特徴は、メーカー自身による次の説明図で明快です。
01
ブリキ細工のユニットが、わずか8本のビスで組み立てられる構造です。
またピント合わせも実に単純な機構です。
ヘリコイド方式の上下二本のレンズを、むき出しのギアで連動させるだけです。
こんな状況。
02

03
ブリキ細工というチープな素材と、このメカニカルな外観が、
何とも言えない雰囲気ですね。

今回入手した個体は " リコーフレックス RICOHFLEX VII s " です。
一応このシリーズの頂点にある機種だそうですが、
1955年に発売された当時の定価は、何と「ケース込みで 8,300円」。
カメラが高級品であった時代に、人気になって当然ですね。
一方、最初の写真で左に写っているマミヤ Mamiya C220、
私が入手した1976年頃の定価は、「80mm f2.8付きで、53,000円」です。
20年ほどの時代差があるとはいえ、RICOHFLEXの6倍以上の値段です。

ここで私の記憶を40年ほど遡ってみると、
二眼レフの購入動機は「中判フィルムを使ってみたい」でした。
そして、マミヤC220を選んだ理由は、一番安かったからです。
中判フィルムカメラの他の選択肢と言ったら、
・ハッセルブラッド
・ゼンザブロニカ
・ローライフレックス
など超高級機ばかりで、まさに問題外の外ですね。
また、マミヤ以外の国産二眼レフは既に廃れて、製造されていませんでした。
一般人にとって、もうブローニーフィルムを使う二眼レフの時代は終り、
機動性のある35mmフィルムカメラの時代になっていたのですね。
私自身も、ミノルタSR-7、後にニコンF2を普段は使っていました。

そこで仮定の話ですが、1970年代の半ばに、
もし私が中古カメラ店を訪れていたら、
そこでは店の片隅に「リコーフレックス RICOHFLEX」が、
二束三文というよりも「欲しけりゃタダであげるよ」状態で、
打ち捨てられていたはずです。
マミヤC220と比較すると、
・使うフィルムは同じ、
・サイズは小さく重量も半分、
・しかもタダ同然の価格、
そんなリコーフレックスこそ、
実は私にとってベストの選択だったはずです。
でも「カメラはカメラ屋さんで新品を買うもの」、
という固定観念に捕らわれていた私は、
" マミヤ Mamiya C220 " を選び、
ついに43年間連れ添って、
今では愛着を感じるまでになってしまいました。

と、そんなわけで、出会い損ない、買い損なったリコーフレックス、
43年後の今年、遅ればせながら買ってみましたよ。
現在オークションなどで売られている個体は、すべてボロボロです。
みんな汚れ・錆び・カビにまみれてゴミ同然、
というよりもゴミそのものです。
その中では、「ややマシかな?」と思われる個体を買いました。
でも当然「ジャンク品」、壊れていることが前提です。

まず、雑巾で汚れを落とし、アルコールで消毒し、
ベランダに数日置きっ放しにしてカビ臭さを低減させました。
それから手にとって動作チェックしたところ、
思いがけずシャッターはそこそこ切れました。
ただしシャッターレリーズレバーが不良でした。
次の写真で一番手前に写っているレバーです。
04
以下の写真でチェック手順を説明します。
チャージレバーを押し下げてシャッターをチャージした時の、
レリーズレバーの位置がここです。
05
そして、レリーズレバーを押し上げて、シャッターを切ったところ。
06
この後、レリーズレバーは元の位置に戻るはずですが、
戻らないので、手動で引き戻さなければなりませんでした。
いちいちこの操作をするのは煩わしいです。
それに、何か大きな問題が潜んでいる証拠かも知れません、
と疑ってみましたが、実は簡単に治ってしまいました。
原因は、シャッターレリーズレバーが少し歪んでいたことで、
すぐ下の台座部分に接触して、動きが阻害されていたのでした。
07
この写真のように、レバーを「エイ!」と赤矢印の方に曲げて歪みを直し、
真っ平らにしてあげたら、何の問題もなくなりました。

レンズの玉も若干の汚れ・傷・クモリ・カビがあるものの、
致命的なダメージはなさそうでした。
08
あとはメカニカルな部分を手入れすれば何とかなるかも知れません。
それは「別記事」にまとめる予定です。
うまくいったら、(私の愛機となるはずだった)このRICOHFLEXを抱えて、
ヴィヴィアン・マイヤー」の真似事ができるでしょう。

(終り)