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カラーフィルムの現像「安早楽」2024年03月09日

今時高価なカラーフィルムを「何と8本!」も消費して、
マリックスのカラー現像液を試してみました。
やっと手の内に入ってきて、今後も使えそうな感じなので、
使用上の注意点等について今後の方針としてまとめてみました。
最適なカラー現像
解説書の推奨処理温度は38°Cとされていますが、
今回は私にも液温管理がしやすい30°C〜35°Cについて
何分ぐらい現像するとどういう結果になるか実験したわけです。
結論としては、液温と現像時間が上図の水色縦縞の範囲となるような
組合せで現像した場合に良好な結果を得ました。
例えば、右端の30°Cで約11〜12分という組合せは結果良好でした。
この組合せであれば、温度も高すぎず作業時間も短すぎず、
現像作業がとても楽に行えます。

適正露出で撮影したフィルムを、このように適正に現像すれば、
スキャニングの時も初期設定のままで良い画像データが得られます。
例えば、晴れの日は次のように明るく、
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曇りの日は次のようにおとなしめの画像が得られます。
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なお今回は実験ですので、短かすぎる現像時間も試してみました。
最初の図で「不良」判定した左上の黄色の丸がそれです。
本来35°Cの液温なら5分掛けるところを4分で切り上げたのです。
その結果、次のように寝ぼけた画像になりました。
(スキャン時の補正は特に行わない画像です)
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しかし、これは失敗かというと一概にそうとも言えません。
実は、切り捨てた時間分はデジタル処理で補うことができちゃいます。
元の寝ぼけたデータも、LightroomやPhotoshopで調整すれば
次のような画像に仕上がります。
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結構いけますよね。ディテールも表現されています。

今は普通に写真店に現像を頼むと、
見栄え重視のためかコントラストの高い仕上がりになりがちです。
コントラストが高すぎるとハイライトは飛び、シャドーは潰れます。
それよりは、寝ぼけているようでもディテールを残した画像を得て、
それを自分好みにデジタル処理する方が正解です。
私は通常、ウェットな自家現像の後にデジタル現像もするので、
フィルム現像の結果について、許容範囲はとても広いです。
とは言え、最初の段階で理想に近づくに越したことはないので、
これからは最初の図の「今後の方針」に示した通り、
液温+現像時間=41 にて適正に処理していこうと思っています。

▪️さて次にカラーバランスの件。
これは高戸橋の都電橋桁の微妙な緑色をフィルムで撮ったものです
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次のiPhoneと比較してほぼ同じ色合いですが、ある意味まぐれです
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二つ目は南蔵院のお地蔵さんの頭巾の赤をフィルムで
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これを次のiPhoneと比較すると、
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このiPhoneの赤は作りすぎかな?と感じます。
フィルムの発色とデジカメの発色を比較すると、
好みは別としてフィルムの場合は再現性は気まぐれです。
いろいろな要因でカラーバランスは揺らぎます。

このカラーバランスの問題は今でもクエスチョンです。
正直、出たとこ勝負の感じもあります。
問題解決の手がかりが薄い中、少し参考になりそうな文章が、
以前使ったことのあるCineStill-Csという現像液の解説にありました。
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ここでは低温で時間が長くなるほど攪拌の頻度を下げるような指示がありますが、その攪拌の役割は、写真の濃度やコントラストを適正にすることだと私は思っていました。
でもそれだけではなさそうです。この解説の最後に、
「不十分な攪拌の赤へのシフト/過剰な攪拌のシアンへのシフト」
と書いてあるでしょう?
攪拌の仕方は、写真の濃度やコントラストに関わるだけでなく色合いにも影響するみたいです。
まだ研究の余地がありそうです。

▪️次に色ムラの件。
実験当初、次のような悲惨な画像が数枚ありました。
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いわゆる色ムラですね。
これは、現像液が次のプロセスまで持ち込まれて、
部分的に悪さをしているためと推測できます。
私が、これまで幸いにも酷い色ムラを経験していなかったのは、
次工程の液(漂白or漂白&定着液)が、
現像液の能力を直ちに停止するだけの化学的能力を持っていたからかもしれません。
いずれにせよ漂白工程前に、現像液を無効化する事が必要でした。
まず60秒ほどかけて十分に水洗する事を試してみました。
これで色ムラは一応解消しましたが別の問題が起きました。
現像工程と漂白工程の間に1分間も水洗をしていると、3.5分とか7分とかのいわゆる現像時間の終わりはどこなのか決められないですね。
それで、処理液が一種類増えるのは手間でしたが、
「停止浴」を導入することにしました。
まあ、クエン酸を水に溶かすだけですから無害だし気安く使える液体ではあります。

▪️次に現像タンクへのフィルム装填の件。
私の使用しているパターソンの現像タンクは安くてコスパが良いです。
攪拌棒の回転により攪拌できるので、薬液で手を汚さずに済みます。
もっとも、最近は入手が難しいらしく、それが難点ではあります。
11A
このセットでフィルムをリールに巻く作業には少しコツがあります。
上手くやらないと、巻き始めにフィルムが突っかかったりします。
それを避けるために、
作業開始前にフィルム巻き込み戻り防止のベアリングボール
(次の写真で中央に写っている銀色の玉)
を空フィルムを前後に滑らせることにより掃除しておくことにしました。
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これで、ボールの転がりが良くなり、
フィルムをスムースに巻き込む事ができるようになりました。

▪️最後にアンシャープマスクの件。
これは現像の済んだフィルムをスキャンする時の課題です。
デジタル処理で画像の精細度を上げる「アンシャープマスク」をかけるかどうかです。
以前と言っても既に10年前になりますが、
「EPSONスキャナ画質比較」(http://mejiro.asablo.jp/blog/2014/06/14/7343806)
をした事がありました。
その時に使用したのは120のブローニーフィルムでした。
このフィルムは画像サイズに余裕があるので、
アンシャープマスクをしない方が良いかな、という気分でした。
さて問題は今回の実験で使用している135(35mm)フィルムです。
最近はデジカメのカリカリ画像に目が慣れてしまって、
フィルムカメラで撮影した写真の緩さに、
若干物足りなさを感じることもあるかも知れません。
(特に昔の高級機や高級レンズで撮影した場合は尚更)
比較例として、次はマスクなしの写真の拡大画像です
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次はマスク「強」とした場合です
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これらを見比べると、やはりかけた方が良いかなって思いますね。
でも、昔の「ズミクロン画質」とか言っていたような精細な画像が、
スキャナの設定ボタン一つで実現してしまう安直さに、
ちょっとタメ息。

カラー現像は度量衡から2024年03月02日

カラーフィルムの現像のために温度計を買い足しました。
普通のガラス棒の水温計とデジタル水温計です。
カラー現像用液温計購入

現像液の液温を測ったり、湯煎用の水温を測ったり、
同時進行で複数の液温測定が必要になるためです。
先日もそれらを駆使して現像をしていたところ若干の違和感を感じました。
何かバラついているような気がしたのです。

今更ながら商品仕様書を調べてみると、
今回購入した製品を含めて
市販の液温計の精度はほとんど『±1°C』となっていました。
「ええっ!そんなにアバウトなの?」と思いました。
これまで使ったことのある現像液のレシピの中には、
「37.8±0.3°Cの液温で現像時間は3分15秒」
なんて素人には無理そうな事が平気で書いてありました。
本気でこの精度を守るには『±1°C』の精度の温度計では役に立ちません。

とにかく現状把握のために手持ちの温度計をテストしました。
次の四つについてです。

・MINOX用(ミノックスの現像セットに付属)
・旧温度計(パターソンの現像セットに付属)
・クレセル長棒(今回購入)
・ニッソーデジタル(今回購入)

テストA:約30度弱の水を測定
液温測定A

テストB:約40度弱のお湯を測定
液温測定B

結構バラついていますね。
この結果を下図のグラフにまとめてみました。
各温度計について、オレンジ色の縦長部が『±1°C』の誤差の範囲であり、
それらを横に串刺しした点線エリアが真の液温を示しているはずです。
温度計テスト結果

そうなると、
最も信頼のおける液温計は今回購入した「長棒」タイプになります。
一方、短棒の方は長棒より常に約1°低いです。
これって非常にまずい事態です。
なぜなら、ここ10年ほど私がカラーや白黒のフィルムを現像する時に
使用していたのは、この「短棒」なのです。

ということは私がこれまで作業していた現像環境は、
あるべき環境より常に1°C高かったことになります。
地球温暖化の一因がこんなところにも。

カラー現像の季節(続き)2024年02月19日

前回)からの続きです。

マリックスという会社から販売されている
「カラーネガフィルム C-41現像キット」を使ってみます。

問題は、指定された標準液温(38°C)が少し高すぎることです。
私の手持ち機材では冬場にこの液温を持続させるのは難しいのです。
これまで私が最も馴染んでいたのは、室温に近い液温で現像できる「ローライデジベース」という現像キットでした。
この現像液、20-25°Cの液温範囲では
液温+現像時間=38
という関係が成り立つことが分かっていたので、柔軟な現像作業が可能でした。

それで、両者の説明書から、現像のレシピ部分を抜き出して比較してみました。
01ローライゲジベースの現像レシピ

02マリックスの現像レシピ

マリックスも液温と現像時間の組み合わせが示されていますね。
理解しやすくするためにこれらを下図のグラフにまとめ、
今後参照しやすいように「結論」も要約して載せました。
液温と現像時間のグラフ
いずれも液温を低くすると必要な現像時間が伸びていく状況が良く分かるでしょう?
4個の赤い丸がマリックスの推奨値ですが32度までしかありません。
私はできれば30度くらいの液温で現像したいのです。
それで近似線を引き「エイヤッ!」と30°Cまで伸ばしてみました。

前回の失敗後、二、三回の試行錯誤を経て、
とりあえず、私の導き出した方針は次のとおりです。
・現像:液温30-35°Cの範囲で、液温+現像時間=41とする
 (今後41→40→39となるよう現像時間を変えてテストする予定)
 (攪拌は:最初の30秒間は連続、その後は毎分4回攪拌棒を回転)
・極めて十分な水洗
 これを怠ると、漂白プロセスに持ち越された少量の現像液が
 悪さをし、色ムラが生ずる(らしい)
 (いずれ水洗の代わりに停止浴を行う方法も試す予定)
・漂白:35°C程度で10分。攪拌は適宜
・定着:35°C程度で10分。攪拌は適宜

この方式で、ポストを試し撮りしたフィルムを現像処理。
赤色ポスト
前回、満足のいかなかった色の乗り(特に朱色)もOKでした。
カラーバランスも良好でした。
また、ネットフェンスや樹木の葉っぱなどを撮影した写真も。
USM強
今回はスキャン時に「アンシャープマスク」を強めにかけてみたので、
デジタル画像を見慣れた目にも結構精細な画像に見えるでしょう?

課題の液温管理については、冬場でも迅速に調整できるよう
「投げ込みヒーター」なるものをAmazonで購入しました。
投げ込みヒーター
湯煎方式で温度調整するためにはこれかな。
そうでなければ、差し湯用に熱湯の入ったヤカンを隣に常備することになりますね。
今回使用したカメラとフィルムは次のとおり。
MinoltaX-700とフジカラー100
このフィルム一本の値段で、以前は三本セットが買えました。
今時、フィルム遊びは高額所得者の贅沢ですね。

GT-X970のピント調整2024年02月06日

10年前にエプソンのスキャナF-3200が故障した時、現在使用しているGT-X970に買い替えました。そして手持ちのスキャナの画質比較をしたところ(http://mejiro.asablo.jp/blog/2014/06/14/7343806)GT-X970は、かなり優秀なスキャナであることが確認できました。
EPSON_GT-X970
この3台の左がF-3200、中央がGT-X820、右がGT-X970ですね。
その後、次のような初期設定のまま特に疑念なく使い続けてきましたが、ふと思い立ってピント調整をしてみることにしました。(拡張設定によるアンシャープマスクはこの時は「なし」でした)
00

この機種は次の写真の部品(スペーサー)を適宜使用することによって、フィルム面のガラスからの距離を「2.5mm」「3.0mm」「3.5mm」と3段階に変えることができます。
01
サポートガイドの該当ページに次のように図解されていました。
スペーサー

ピントのチェックに使用するフィルムは、10年前に画質比較をした時と同じもので、大塚のバラを撮影したブローニーフィルムです。
バラ
この写真の丸で囲った2か所について、ガラスからフィルム面までの距離を「2.5mm」「3.0mm」「3.5mm」と変えてスキャンしてみました。結果は次の通りです。
中央に近い比較1
中央部
端部に近い比較2
端部
歯の尖ったところに着目すると、比較1、比較2のいずれについても、一番右の「3.5mm」の場合が最もシャープに見えます。

これまで初期設定の「3.0mm」のままでずーっと使用していましたが、私のGT-X970については「3.5mm」とするのが望ましいようです。でも、それほど差があるわけではないので、これまでの作業が無駄になるわけではないです。

GT-X970は、ブローニーと35mmフィルムとでは、使用するフィルムホルダが別なので、この際、35mmフィルム用についてもチェックしてみることにしました。
使用するフィルムは、5年前に「ニコンで銀塩vsデジタル」(http://mejiro.asablo.jp/blog/2019/02/09/9033973)の比較をした時のもので、次の写真の中央部分をチェックします。
チェック用35mmフィルム
これも「2.5mm」「3.0mm」「3.5mm」とスペーサーのセット位置を変えて3種類試してみます。結果は次の通りでした。
35mmフィルムホルダ
35mmフィルムのスキャンについては「3.0mm」「3.5mm」のどちらでも良さそうです。

こんな風に、使い慣れたデジタルデバイスもその性能を完全には発揮させていないことが多そうですね。
さて、初期設定の見直しついでに、「読み込み解像度」は本当はどのくらいが良いのか検討してみます。
35mmフィルムの場合、
1,200dpiで読み込むと画像サイズは、1,700x1,100ピクセル程度
2,400dpiで読み込むと画像サイズは、3,400x2,200ピクセル程度
になります。
この2種類の解像度で読み込んだ先ほどの写真について、その中央部分を拡大して比較したのが次の写真です。(参考までに2,400dpiの場合と同じサイズになるよう書き出したデジタルデータ(D600で撮影)も並べてみました)
読み込み解像度比較
これは、見る時の(出力時の)画面サイズにより印象が変わると思いますが、今回は、1,200よりは2,400がスムースに見えました。
それでも僅かな違いでしたので、用途によっては1,200でも大きすぎる解像度かもしれません。

ただし、私の場合デジタルカメラの書き出しサイズはオリジナルよりは小さくするものの、標準的に4,000x2,660程度と大きめにしています。デジタル写真は枚数も多くなりがちで、それを保存するiMacでは、データの総量はかなりの量になります。
今更フィルム撮影分のデータサイズをケチっても焼石に水なので、これまで通りの「2,400dpi」で良しとすることにします。

目白ジオラマ縮小板の製作(続き)2024年02月04日

前回)からの続きです。

00目白ジオラマ改修設計図
この新レイアウトの特徴はB2サイズと小型にも関わらず、
外回りの最小回転半径はR216なので長めの客車も走行可能な事です。

早速試運転。まず都電(MODEMO 8800形)が内回り線路を。

バスコレの都バスと併走します。
このバスは芸が細かいことに、停留所で5秒間停止します。

次にSL+客車の試運転。
これは東武鉄道の『SL大樹』に倣って構成してみました。
大樹の車両構成
参考:https://www.tobu.co.jp/sl/more/organization/
(但し蒸気機関車はC11の代わりにC12を使用)

客車に室内灯を点けたので、薄暮時の運転も雰囲気があります。


(終わり)