目白の風景、40年前と見比べると

新目白通りは、東京都市計画道路放射第7号線の一部です。この7号線は戦後間もない1946年に都市計画決定されてから順調に施行され、1974年には山手線の下を通過する高田ガード部分も予定通り立派に拡幅されました。
1969年に完成した高田ガードは、当初から十分な規格で造られていたので現在でもその形は変わっていません。まあ、当然ですね。
1974年と2012年の高田ガード東側の写真を並べてみます。

ガードの形は変わらないのに周辺の街の風景は一変しています。
と言おうと思って写真を良く見ると、左端の建物の形が似ている、というよりもダイヤ菊の袖看板が消えてるだけで他は一緒ですね。

派手な外壁色に惑わされずに確認すると、この建物は40年の風雪に耐えて生き延びた建物である事が分かります。

当時の住宅地図には「ダイヤ菊高島屋大島屋アパート」と書いてあります。妙な名前です。
Google地図のストリートビューでは屋上に「清酒サワノツル」の大きな看板が乗ってます。
とにかく酒屋に関係するアパートである事は間違いなさそうです。

この「清酒アパート？」の足元を見るとトヨタレンタカーの店舗と駐車場です。

幹線道路沿いのほぼ整形な敷地です。立派な高層マンションが建てられそうです。
折紙付の「低未利用地」です。何故こんなにスカスカなんでしょう？

1974年のこの地の写真を見てみます。清酒アパートをバックにした駐車場です。

国土産業KKなる会社の専用駐車場でした。この会社は消滅しているようなので、多分土地は転がされていると思います。その間に有効活用の話はなかったのでしょうか？

そんな疑問から、上の写真の駐車場前で挨拶している老婦人と男性の会話を想像してみました。
「国土産業の奥様、土地をお譲りいただいてありがとうございます」
「トヨタの旦那様にお引き受けいただいて私も安心です。でも決してビルは建てないで下さいね。不幸が訪れますよ。駐車場として永続する事がこの土地の天命ですから」
「承知しました。お隣のダイヤ菊と沢の鶴にかけて誓います」

まあ、そんな事はないでしょうが、土地の特性って不思議です。商売やっても絶対繁盛しない土地とかありますからね。