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40年前の鎌倉で何の展覧会?2015年08月21日

前回)からの続きです。

「神奈川県立近代美術館鎌倉館」、
鶴岡八幡宮の境内に建つこの美術館は、「建物自体が芸術品だね」、
と昔も感じましたが、今回の訪問で更にその気持ちは強まりました。

しかし!
建物に感心しすぎたのか、昔訪れた時に何の展覧会が開催されていたのか、
それが思い出せないのでした。
正確には1973年12月11日のことです。
この間、いろんな美術館でいろんな展覧会を見たから無理もありません。
それでも思い出せないとなると、更に気になって落ち着かないものです。
何か思い出す手掛かりがないかと、四苦八苦したところ、
不思議とあるものですね、昔の写真の中に手掛かりを発見しました。

次の写真は、旧館のテラスから新館を眺めた現在の様子です。
鎌倉近代美術館の閉ざされた新館
新館は、耐震安全性に問題があるとのことで、現在は閉鎖されています。
窓にはブラインドが下がり、その中は全く見えません。
でも1973年は、この同じアングルから次のように新館の展示室が見えました。
昔の新館1

昔の新館2
これらの写真に手掛かりが隠されていました。
新館の室内に透明ケースに納められた彫刻があり、
その右奥に絵画のポスターらしきものが見えるでしょう?
上下二枚あり、どちらも同じものなので、これは絵画そのものではなくポスターでしょう。
写真から該当部分上下を切出して並べてみると次のようになります。
ポスター切出し
建物の窓とアーチが個性的な遠近法に基づいて描かれています。
この形態は、私の好きな次の絵に通ずるものがあります。
キリコの憂愁と神秘の通り
デ・キリコの「憂愁と神秘の通り」です。
私はこの絵を見るたびに、輪回しをしているシルエットの少女とともに、
追憶のミステリーゾーンへと迷い込んでしまいます。
それは兎も角、先ほどのポスターの絵もキリコの作品に間違いありません。
似た作品を探すと、次のように沢山ありました。
イタリア広場の絵のバリエーション
まるで間違い探しのようです。
同じ「イタリア広場」のモチーフで何枚もの絵を描いたようですね。
先ほどの新館のガラス越しに見えたポスターは、キリコ展の開催案内でしょう。
40年前の私は、まさにその展覧会を見るために、この美術館を訪れたはずです。
写真って、やっぱりすごいと実感しました。
記憶の網からこぼれ落ちたものを、しっかり掬い取ってくれるのですから。

そしてもう一つ、この発見の後に、更に決定的な証拠が出て来ました。
同じ年の三ヶ月ほど前のこと、池袋西武百貨店のジャコメッティ展へ行っていました。
その時のカタログに、キリコ展の入場券も挟まっていたのです。
ジャコメッティ展カタログ
40年以上ここに挟まっていたわけです。
お久しぶり。
せっかくですので、今回の入場券と並べてスキャンしてみました。
新旧の入場券
昔の入場券を見ると、施設名はシンプルに「鎌倉近代美術館」だったんですね。
その後、別館や葉山館ができたので「近代美術館 鎌倉館」としたのでしょう。
一方、この間に私自身に関して大きく変わったところは、
今年から65歳以上の優待料金になったこと。
今回は一般が1,000円のところ、500円で入場できました。
嬉しいようなチト寂しいような気分です。
でも500円の違いは大きいですね。展覧会に行くのは決して安くないから。
例えばこうですよ。

本日の家計簿:
・入場料 500円
・電車賃 1,640円(雑司ヶ谷〜渋谷〜横浜〜鎌倉の往復)
・ランチ 980円(コメダ珈琲の鎌倉小町店でコーヒーとサンドイッチ)
<合計> 3,120円

最後に、今回の鎌倉訪問で残念なことがひとつありました。
本当は次の写真の風景についての今昔比較もやりたかったのです。
40年前の若宮大路の段葛
1973年、鶴岡八幡宮への参道である若宮大路の段葛(だんかずら)と桜並木です。
写真の左端に「鶴ケ岡会館」の看板が目立っているし、
撮影場所の特定は容易なはずでした。
でも、現在は次のように修復工事中のため、段葛は囲われていました。
段葛修復工事中
完成予定は来年の3月だそうです。
これは、また来年の桜の時期に来るしかありませんね。
その頃には「鎌倉近代美術館」は消滅しているのかな。

(終り)

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