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フェラ岬の至高ホテル(2)ドゥ・カップ・フェラ2016年08月05日

前回)からの続きです。

27年前の夏、"ボーリュー・シュル・メール Beaulieu-sur-Mer"の次に訪れたのは、
"サン・ジャン・カップ・フェラ Saint-Jean-Cap-Ferrat"です。
このフェラ岬もボーリューと並んで、
欧州のセレブたちが別荘を構えるリゾート地だそうです。
こんな場所です。
紺碧海岸フェラ岬の別荘

「世界的な金持ちの別荘ってどんなものなの?」という興味から訪れました。
ただし、このエリアについては何も知らなかったので、行き当たりばったり。
当時の日本では、この地の観光情報など入手不可能でした。
例えば、20世紀初頭に建てられた「ロスチャイルド邸」なるものがあって、
こちらは見学も許されているらしいのですが、
何故か15:00までお休み、ということで見られませんでした。
というよりも、フェラ岬は観光客向けの場所ではないので、
ガイドブックで紹介しても何の意味もなかったのでしょうね。

まあ、しょうがないので岬の先端近くの適当な場所に車を止めて、
周辺の別荘を徒歩で、行き当たりばったり、外観だけ見て回りました。
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その私の姿は、客観的に見れば明らかな挙動不審者でした。
実際、ある別荘の玄関近くでカメラを構えていた時は、
屋敷の中から"Qui est ?"とか何とか、女性の声が聞こえました。
多分、外の気配を訝しんだ住人が、
「どなた?誰か外にいらっしゃるの?」と問い質した風でした。

そんな挙動不審を繰り返しながら、緩やかな下り勾配の道を歩いて行くと、
急に視界が開けて、その先に地中海が見えました。
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そして、そこには何とも魅惑的な光景が出現!!
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岬の先端に、お立ち台がありました。
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樹木も岩肌も自然のままの荒々しい崖上に、
バラストレード(装飾欄干)で縁取られたお洒落なお立ち台でした。
そこから見下ろす地中海は、まさに別世界。
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しかも、その別世界を独占的に楽しんでいるのは僅か2・3人の若者だけでした。

そして、お立ち台から、海とは逆方向を眺めると、
そこには、白い衣装のエレガントな貴婦人のような建物が見えました。
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お立ち台から門と庭園を通って建物の中心まで、見事なシンメトリーです。
しかも、堅苦しい感じはまったくないんです。
「こ、こ、ここは何処?、これは何?」と思いましたよ。
その美しい庭園の中に、思わず引き寄せられましたが、そこまで。
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ちょっと、心の準備ができていなかったので、
この別世界にずけずけと入って行く勇気が持てませんでした。
(それに、見て回る時間も確保していなかった)

帰り道に、この庭園の反対側に回るとどういう建物か分かりました。
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"グラン・ホテル・ドゥ・カップ・フェラ Le Grand-Hotel du Cap-Ferrat"。
名前からして何となく格調高いです。
こうして「お金と暇ができたら泊まりに来よう」と思うホテルが、
また増えてしまいました。

この話には若干の後日談があります。
5年か10年くらい経った頃でしょうか、
このホテルが日本人の手に落ちていたことを知りました。
「ホテル志摩石亭」などを持つサザレグループが購入したそうです。
私は、ものすごく驚きました。
あのホテルの価値を見出しただけでなく、
それを自分の所有物としちゃった日本の企業家がいたのだ、
と驚くと同時に、ホテルの行く末に不安を感じました。
理由はうまく言えないですが、文化的な素地が違いすぎるような気がしました。
まあ、簡単に言うと、
「成金が貴婦人を手に入れても、やっていけるの?」というやっかみでしょうか?

果たして、サザレは倒産し、貴婦人は、また売られる身となりました。
今は、「フォーシーズンズ ホテル&リゾート」の一ホテルとなっています。
ワールドワイドなホテルチェーンの傘下に入ったわけですね。
そして、ホテルの売り文句を見ると、
「....客室には、USBやBluetooth接続付きのドッキングステーション、ミニバー、液晶テレビ、エアコンが備わっており、....無料Wi-Fiを利用できます」
とありますが、「これもちょっと違うんじゃないか?」と思います。
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続く