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HP200LXの液晶修理2018年05月12日

かつて世に出たパソコンの中で、
最も趣味的でオタク好みのPCといえば、
それは " HP200LX " で異論のないところだと思います。
手のひらサイズで可愛いけれども、実は本格的なDOSマシンでした。
ところが、一部の趣味人から熱狂的な支持を得る製品は、
えてして一般受けせず、製造者に利益をもたらさず、
ほどなく製造中止になり、後継機種も開発されないのが世の常です。

私も20年ほど前に、
パナソニックのノートパソコン " Panasonic Let's_note CF-A77J8 "
とセットで " HP200LX " を愛用していました。
今は出番がなくなっちゃいましたが、かといって捨てることもできず、
時々取り出してきては、電池を入れて起動させていました。
ところが、久しくご機嫌伺いをせずにほかっていたら、
ある日、こんな状態の200LXを発見しました。
ビネガーシンドローム
液晶に巨大なシミができて、画面の大半を侵食していました。
さすがにこれは捨てるしかないなと思いました。
国内では修理する技術屋さんも全くいなくなっているはずです。
(でも、半年くらい捨てずにグズグズしていた)
昔は、秋葉原の若松通商とか紀伊国屋のアドホックとかあったんですよね。
その若松通商で2MBモデルを購入して、スゲー高い追加料金を払って、
倍速&6MB化してたなと、懐かしんでいました。

そんなある日、ふとしたことから、
この液晶を修理している人が国内外にいることをネットで発見しました。
しかも素人さんです。(ある意味、セミプロというべきか?)
国外では、" Replacing polarizer of 100/200LX "
国内では、" HP100LX/HP200LXの簡単な偏光板交換作業手順 "
「この駄目になった液晶も修理できるんだ!」とびっくり。
この状態は『ビネガーシンドローム』として知られているんですね。
それなら、そのうち私も取り組んでみよう、と考えてから、
でも、なかなか着手できず、また半年ほどが経過。
やっと先日、やってみました。
十年後の再修理のために、その過程を記録しておきます。

化粧プレートを剥がします。
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剥がれました。
03
液晶表面に貼られた偏光フィルム(シート)を剥がすために、
画面の隅のフィルム端部を持ち上げ、全体を剥がします。
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剥がした後は次の状態です。
中間層(接着剤と何かの合成層)が取りきれずに残っています。
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アルコールなどを浸しながら、中間層をヘラで削り取ります。
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先ほど剥がした偏光フィルムのかけらを画面に乗せてみると、
次のように見えますので、液晶本体は生きていることがわかります。
07
切削作業を1〜2時間ほど続けたのち、
接着剤が取りきれずクモっている部分は、アルコールを一滴垂らして、
ティッシュなどでクリーニングすると良いです。
08
次のようにピカピカに綺麗になりました。
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ここで再度フィルムを乗せて、画面全体が生きていることの確認。
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ちょっと気になるのは、画面の色が当初の上品なグレーから、
少し黄緑っぽい色になっていることです。
中間層を取り去ったことに原因があるのかもしれません。

ここで、ちょっとした実験をしました。
通販で購入した小さな偏光フィルムを繋ぎ合わせて、
次のようなテストシートを作りました。
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ひょっとしたら色味が改善するかも、と淡い期待。
しかし、予想されたことながら左から二番目の「グレー」色が、
やっぱり最も適しているようでした。
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次は、大きめのグレー色偏光フィルムを東急ハンズで買って来て、
それを画面に当て、右へ左へ傾けながら、
一番良く見える、最適角度を探っているところです。
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画面の大きさに切り出したフィルムを液晶の上にのせ、
化粧プレートを元に戻して出来上がり!
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ここで、私の個体の補足説明をします。
この写真で、キーボード下に「漢字」と表示があるように、
「ALT+スペース」で日本語変換ソフトが起動します。
しかも、裏技を使ってDOS用の " ATOK " を入れているんです。
だから、とても賢く、快適に日本語入力ができました。

" Panasonic Let's_note CF-A77J8 "と繋いでみました。
(昔は赤外線で接続できていたのが、その方法を忘れたので、
 ここはシリアルケーブルで繋いでいます)
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" TRANSFILE WIN 200 " というソフトをPCで起動すると、
ファイルのやり取りができるのです。
今度、旅行にでも行った時に、200LXで旅行記テキスト作成、
フィルムカメラで写真撮影、
家に帰ってきたら、テキストファイルはPCに転送して、
フィルムは現像してスキャナでPCに取り込んで、
それらを適宜編集してブログ作成、ってのも可能ではあります。
これらの作業の全てが、実は、現代では iPhone 一台でできてしまうのだから、
恐ろしい時代になったものですね。

でも、テキスト作成は、今でもキーボードでやりたい私には、
小さいけれども10キー付きフルキーボードを備えた " HP_200LX " は、
忘れがたい名機であります。
そんなことを思いながらコーヒーでも飲みましょう。
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このマグカップ、実はHP200LXが世の中から消えることとなった頃、
製造元のヒューレットパッカードから、愛用者向けに突然送られてきたものです。
申し込みも何もしていなかったのに、不思議な愛用者サービスですね。
コーヒーカップではなく、コウケイキを製造してほしかったです。
諦めの悪い私は iPhpne を活用しながらも、
今でもHP300LXが発売されるといいな、などと考えています。