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Rollei A110-110フィルムを使う2013年09月05日

前回)からの続きです。

35mmフィルムカメラの場合、説明書を見なくても、何となく使えてしまいます。
「標準的な操作体系」がほぼ確立しているからです。
ライカ以来つちかわれた35mmカメラの歴史によるものでしょう。
Rollei A110にはそれがありません。
ガラケーからスマホに乗り換えたIT弱者の気持ちになります。
やむを得ず、英語の使用説明書を読む事にしました。
Rollei A110の英文使用説明書
カメラに同梱されていたものです。
苦手な英文ですが、それでも無いよりはましです。
中古の商品には、付いてない事の方が普通ですから。

■代用電池
代用電池
カメラの電源として、説明書は"Mallory PX27"か"Varta 7150"
という5.6Vの電池を使うように指示しています。
でも、これらはもう製造されていません。その替わりに、
1.5Vの電圧を持つボタン電池LR44x3個とLR43x1個を使う事にしました。
上の写真のようにセロテープでつなぎあわせます。
これで、大きさ・電圧とも規格に近い値になります。

■フィルムの入手
フジやコダックなどの大手は生産から撤退しましたが、調べてみると、
LomographyとEagle Enterprisesという二社から発売されていました。
普通のカメラ屋さんでは置いていないので、
Net通販でイーグルエンタープライズのフィルム二本を買いました。
110カートリッジフィルム
このフィルム、110 FUKKATSUと気合い溢れる商品名です。
ISO100(ASA100)の黒白と、ISO400(ASA400)のカラーフィルムです。
この二種類しかありません。

フィルムカートリッジの端部には、上の写真の矢印ように、
ISO100と400を区別するための切り欠きがあります。カメラは、
この切り欠きの大きさを検知して、ISO100と400を自動設定するようです。
自分で設定ダイアルを回したりしなくてもいいのですね。
この辺が初心者向けのフィルムと言われた理由でもあります。

ここで問題がおきました。
何と私のA110ではISO400は使えないのです!
感度設定の仕組みはどうなっているのかな〜、
とカメラの細部をチェックしていて分かりました。
ISO100のフィルムを使用する事しか想定されていないようです。

Net上の情報では、二種類の感度に対応しているはずなのに。
Net情報、信ずべし信ずべからず、です。
メーカーの公式発表以外を信ずるのは、全ては自己責任の世界なんですね。

断片的な状況証拠をつなぎ合わせると、こういう経緯のようです。
(この結論に間違いないと思いますが、これも信ずべし信ずべからず)
1972年 コダックが110フィルム発売開始
1975年 ローライがA110発売開始。Made in Germany
197?年 ASA400規格のフィルムが開発・販売され始め、
        ローライも改良型の400対応機を発売。まだ、Made in Germany
1978年 A110の生産拠点移行。Made in Singapore となる。全て400対応機

A110は、Made in Germany であっても、その後期の製品であれば
下の写真の矢印のタブ受けの部分に、切り欠き検知用の仕組みがあるようです。
感度切り替え不可
私のは、何もありませんから、検知できないという事です。

しかし、以前に、国産Minoxの「アクメルM」を使うにあたって、
同種の問題に対処した事がありました。
自作のNDフィルターを取付ける方法です。(トンボ眼鏡のMinox

これを装着すれば、ISO400のフィルムを、400非対応のカメラで使用できます。
NDフィルタ装着
着けてみました。純正品のように似合っているでしょう?
Rolleiの”R”が隠れて”ollei”になっていますが、
撮影結果さえ良ければ、オーライです。

しかし、又また問題が!
念のためフィルムパッケージを確認すると、露光指針が示されていました。
自動露出のカメラが普及していなかった時代には、
フィルムの箱にこの数値を載せるのは必須でした。
下の写真の”REFERENCE EXPOSURE”です。
パッケージに露光指針

これを見ると、どちらのフィルムも「曇り」と「晴れ」の時は
1/125のシャッタースピードで、それぞれf/5.6とf/8を使え、です。
これはISO100についての標準値です。
そして快晴の時も、f/16とf/11の絞り一段分しか違いがないです。
これではISO400の高感度フィルムとは言えません。

単なる印刷ミスか?それとも、
フィルム特性は”REFERENCE EXPOSURE”通りのISO100〜200相当なのか?
実際に撮影して結果をみる事にしました。

以下の4例は、現像所から上がってきたカラーフィルムを、
スキャナーの標準設定で読み込んだ無調整のものです。

1.鬼子母神(ISO100として撮影)
110で鬼子母神
日陰になっている部分はほぼ適正露出です。

2.曇りの日の都電(ISO100として撮影)
110フィルムで都電
曇り空なのでコントラストは低いですが、これもほぼ適正露出です。

3.快晴の日の都電踏切(ISO100として撮影)
都電踏切ISO100
白い部分が飛んで、やや露出オーバーです。

4.同上。ただしNDフィルタにより露光量を1/4とした(ISO400として撮影)
都電踏切ISO400設定
明らかにアンダー気味。露光量不足です。

この結果から言える事は、
箱に印刷された”REFERENCE EXPOSURE”が正しくて、
曇りっぽい日のISO感度は100とし、
快晴の日は200とするのがベストという事です。
一件落着。

まあ、そんな厳格な使い方を想定したフィルムではないのでしょう。
販売する方も、「まあ400で売っちゃおうよ!」のノリなのでしょう。
そうであれば、使う方もアバウトに、
ゆる〜い気持ちで撮影するのが良さそうです。
というよりも、もともとゆるい気持ちで撮ってますが。
続く