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祖母の名はフク富久婦久2017年03月13日

母が亡くなって早や7年、
住む人のいなくなった家を手放す事になりました。
今度は遺品の整理というよりも、一切合切の処分です。
そんな処分品の中から、また現れた古い写真の束。
遺品の写真
どうしたものかと悩みました。

写真の一枚一枚が人生の記念碑だった時代には、
このような遺品の写真は捨てるに忍びず、
次の人へ、そしてまた次の人へと、
人が亡くなるたびに、遺族の誰かへと引き継がれていったのでしょう。
だから、古い写真の束の中は、
元々の所有者が誰なのかさえ分からなくなった写真ばかり、のはず。

そこで私は考えました。
「私の見知った顔が写っている写真だけを残そう」と。
感覚的には、それで十分の一くらいに減らせそうです。
先日までは、その存在さえ知らなかった写真ですから、
あるいは、何も見ずに「えいやっ!」と捨てても良いくらいです。

ところが、無駄に残っていた訳では無い、ということなのか、
先日は「陽明門の下で記念写真を撮る祖父」を見つけ、
祖父の顔を初めてきちんと認識することができたし、
今回は、次のような写真も見つけました。
祖母と父の110年前
父のアルバムに貼ってあった一枚の写真と同じものです。
(その写真のことは「108年前の祖母に会う」に書きました)
赤子を抱いた女性は、私の全然知らない顔立ちなのですが、
私に「この人は実の祖母!」と確信させた、不思議な力を発する写真、
それと同じものを見つけたのです。

そして、一応裏面を確認してみると、次の書き込みがありました。
03
このように、写っている5名全員の名前が記され、
父の名前の隣の文字は「富久」と読めます。
父の戸籍謄本から、
その父は狷造・母はフクという名前であることは知っていたので、
この女性が私の父方の実祖母であることは、
単なる確信ではなく、正真正銘の「事実」になりました。
撮影年も、もちろん予想通りの明治40年(1907年)でした。

おまけに、このフク・富久さんの写真は他にも見つかりました。
04
出てくるものですね、100年の時を経て。
その中の次の一枚は、二歳になった父を抱いた写真です。
05
この裏では、今度は「ふく子」と自称していました。
06
昔は女性の名前について、戸籍上は単純なカタカナだけなのを、
「子」を付けたり、適当な漢字を当てたりしていた、
というのは本当なんですね。

とにかく、こんな発見がありながら、写真を分別していきました。
そして、知らない顔ばかりの写真は、当然、廃棄側に分類するのですが、
次の写真でふと手が止まってしまいました。
07
知らない顔というよりも、どの顔も退色して、誰だか分かりません。
撮影した写真館は、東京本郷区弓町二丁目(今の文京区本郷二丁目)と、
宇都宮へ嫁いだ祖母には縁のなさそうな場所です。
でも写真の古さ加減から、
ひょっとしたら祖母の写っている一枚かもしれないと思い
裏面に「富久」の文字を探しました。
08
左から二人目の名前に「富」の字はありますが、
「下條富志?子」としか読めません。
別人でしょう。

捨てそうになって、でも、左奥の人物の雰囲気に、
捨ててはいけない、という何かを感じ、
念のため、Photoshopで目一杯調整してみると、こうなりました。
09
気になった女性の顔は、祖母のフクに、とても良く似ています。
「そうなのかな、でも、名前が無いしな〜」と思いつつ、
裏面を再度確認すると、発見!
「野口婦久子」とあるではありませんか。
しかも「野口」は祖母の旧姓だった、と気づきました。
「富」の漢字にこだわり過ぎて、こちらを見逃してしまったのですね。

この写真の撮影は明治三十八年とありますから父誕生の二年前です。
ということは、まだ多分十代の、嫁入り前のフクさんですね。
その若く美しい姿を、
112年後の私に何としても見せたかったのだ、としか思えません。
それにしても、このフクさん、
一体いくつの「ふく」を使い分けていたことやら...

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