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Nikomat_FTNがやって来た2015年03月10日

1960年代の銘玉レンズを入手しました。
"Nikkor-S auto 50mmF1.4"というレンズです。
この当時のニコンを代表する(という事は日本のカメラ界も代表する)レンズです。
当時の一眼レフの最高峰機種である"Nikon F"と組み合わせると、
次の写真のように見事に絵になります。
Nikon_FとNikkor_50mm

ところが、このレンズ、実は次の写真のカメラとのセット売りでした。
Nikomat_FTN
カメラは"Nikomat FTN"ニコマートFTN、
"Nikon F"の弟分的な位置づけのカメラです。
だから、二枚の写真を並べると、「間違い探し」のクイズのように見えるでしょう?

私の欲しかったのはレンズだけなので、カメラ本体はどうでも良かったんです。
でも、せっかく我家にやって来たカメラですから、
このニコマートにフィルムを詰めて試写に出かけました。
銘玉レンズと同時に、カメラ本体の試写も兼ねようという訳です。
そしたら、なかなかの好感触。帰ってきて早速現像しました。
現像結果
絞りを内蔵露出計の指針に合わせて撮影し、全コマ適正露出でした。

雑司が谷から池袋周辺のスナップを、何枚か紹介します。
飛翔する二人
飛翔する二人

鬼子母神の仁王様
鬼子母神の仁王様

法明寺境内
法明寺境内

池袋の交差点
池袋の交差点

金乗院目白不動
金乗院目白不動

交差点の写真を見たある人は、「古い写真のようですね」と言ってくれました。
50年前のカメラとレンズで撮影した写真にこの感想、
私にとっては最高の褒め言葉です。

ところで、この"ニッコールSオート50mmF1.4"は今でも人気があり、
状態の良いものは結構な高値で取引されています。
私は幸運にもリーズナブルな価格で購入できたので、
カメラ本体のニコマートFTNはおまけのようなものです。

でも、おまけにしては勿体ないカメラです。
外装が今でも奇麗なだけではなく、
ファインダーも汚れやクモリがなく鮮明に見えていました。
そして、約50年前の製品なのに露出計が完璧な精度を出していました。
普通、この機種の中古では、露出計は死んでるものがほとんどです。

このカメラとレンズの前オーナーは、一体どんな人間で、
どんな風にこれを使っていたのか興味が湧きました。
ここで余計な詮索をしても何の意味もないですが、
前オーナーの人柄を推察すると、こうです。

ニコンを買うくらいだから、本当はニコンFが欲しかったのでしょう。
でも、Fは値段が高すぎるので、この弟分のニコマートで我慢したのだと思います。
ところが、第2希望のカメラながら手にしてみるとそれなりに愛着が湧き、
外に持ち出して使用する時も大切に扱い、
保管する時は電池が液漏れしないように、その度に電池を取出し、
カメラもレンズも、女房には絶対に触らせない。
まあ、私と同じようなマメな人間だった、と推察されます。

ところが、そのうちに小金が貯まると、
やはりニコンのフラグシップ機が欲しくなり、
遂にニコンFかF2を新しいレンズと共に購入。
出番のなくなったニコマートは保管庫の中で年月を過ごした後、
「さすがにもうフィルムカメラは使わないだろう」と売り払われた。
そして、中古カメラ屋さんを通じて私の元に来たのでしょう。

そんな前オーナーのおかげで、今でもこのニコマートは完璧に機能するのですが、
残念ながら我家にも、FにF2にF3と、ニコンのフラグシップ機が沢山あります。
ニコン一桁機

という事は、残念ながらこのニコマートの出番は今回限りかも知れません。
ニコマートが人間だったら、下図の「使用説明書」のように、
「僕だって、本当は美女の手の中でもっと活躍したかった」と言うでしょうね。
ニコマート使用説明書

Nikon F:1959年発売 定価:67,000 円(5cm F2付)
Nikomat FTN:1967年発売 定価:46,000円(5cm F2付)
Nikon F2 フォトミック:1971年発売 定価:96,700円(50mm F2付)
Nikon F3:1980年発売 定価:175,000円(50mm F1.4付)