▪️次のボックスに適当な文字列(複数可)を入力して、当ブログ内を検索できます ▪️下の目次タイトルをクリックするとテーマ別過去記事の目次へ飛びます
    ・目白の風景 今昔:目次
    ・吉祥寺の風景 今昔:目次
    ・昔と今の写真(番外編):目次
    ・地中海バブル旅行etc.:目次
    ・旅のつれづれ:目次
    ・母のアルバム:目次
    ・目白ジオラマ鉄道模型:目次
    ・すべてのカメラに名前がある:目次

母のアルバム、最後の謎解きゲーム2014年08月02日

数年前に亡くなった母の遺品を整理していた姉から、
二冊のアルバムが送られてきました。
母の遺品アルバム二冊
朱色のアルバムと、杉綾模様のアルバムです。

中を見ると、ほとんどのページで写真が剥がされた跡がありました。
写真が全く残っていないページもあります。
剝がされた写真
一方、バラの写真が数十枚、袋に入っていました。

昔のアルバムには良くある状態です。
・誰かに見せるために剥がして持ち出す。
・アルバムの構成を変えるために剥がす。
などの理由で一旦剝がされた後、そのままになってしまったのでしょうか。
これを出来るだけ元の姿に戻したいものです。

アルバムの書込み等から判断して、写真の主な年代は昭和初期、
1930年代頃のようです。
今から約80年前です。
ということは、写っている人物の大多数は既に「あちら側の世界」の住人です。
親類を訪ね歩いても、
「この写真はあなたですか?」とか「この写真はいつ、
何の時に撮られたのですか?」
との質問に答えてくれる人はいません。

やむを得ず、書込みのある所から自力で復元を試みました。
例えば、こんな具合です。
上の写真の朱色のアルバムの右下部分を次のように拡大してみました。
謎解きの鍵
黒の台紙に、写真を貼付けた糊の跡だけが残っています。
そして、「どこのどなた!」の添え書きがあります。
こう推論しました。
「どこのどなた!、は人物不詳という意味ではなく、
多分、普段以上のおめかしをした母、もしくは親しい女性のことで、
それを、少しふざけて『どなた』と表現したのではないだろうか」
とすれば、ちょっと気取ったポーズの女性の写真がここにあったはずです。
また、アルバムの他のページで、
母の友人や知人と思われる女性の写真の添え書きには、
「京子様」とか「淑ちゃん」とか「千江子様」など
実名が書かれている例が多いので、
この「どなた」は母自身を指している可能性も高いです。

そして、それらしい写真を何とか探し出し、
写真の裏側と台紙を並べて比較すると次の写真のようになりました。
該当写真発見
糊の跡が完全に対称形になっています。成功!!
表側は次のような写真です。
元の場所に戻った写真
「1932年 木曽ニテ」とメモ書きされていました。
日傘をさして木曽の渓谷(多分、『寝覚ノ床』)に佇む女性、
もし母であれば、この時18歳、丁度女学校を卒業した年です。
今でいう卒業旅行かな。
正解は、私が「こちら側の世界」にいる限り分かりません。

さて、このアルバムの写真復元って、
ジグソーパズルか昔の貝合わせに似ていると思いました。
いずれも、ある特定の条件に合う「ピース」を探し出すゲームですよね。
麻雀をたしなみ、百人一首が大好きだった母ですから、
ひょっとしたらこのアルバムは、母が私に課した最後のゲームかも知れません。

実は、このゲーム好きの性格は見事に子孫に受け継がれています。
幼くして百人一首を覚えた私の娘は、
小学生の時の競技で上級生の男子を負かして泣かせてしまいました。
もう一人の娘は、子供の頃、
自分がやりかけのジグソーパズルを私が夜中に完成させてしまった事に、
翌朝泣いて抗議しました。(怒って当然!)
私もジグソーパズルは好きで得意なので、
やりかけのパズルを放っておく訳にはいかなかったのです。

そしてゲーム好きの性格は、母の「ひ孫」まで。
私の孫娘は二歳そこそこで、
三十ピースものジグソーパズルを脇目も振らず仕上げてしまいました。
ジグソーパズルの孫娘
血はあらそえないです。

そして、私の興味はもうひとつ。
先ほどの木曽の写真はどんなカメラで撮影されたのか、です。
当時はライカ判のカメラはドイツで開発されたばかり、
一般への普及はまだまだの時代です。
ちょっと調べると、当時の日本ではスプリング式のカメラ、即ち
蓋を開けると蛇腹が伸びてレンズがせり出してくるタイプが
出回っていたようです。
(それでも一部のマニアが使っていただけでしょうが)
私も、そんなカメラに白黒のロールフィルムを詰めて『寝覚ノ床』へ行き、
日傘をさして眩しそうに佇む貴婦人を写してみたくなりました。
まずは、そんな蛇腹式の中古カメラを、どこかで買ってしまいそうです。

続く

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
スパム対策の質問をやむを得ず設定しました。お手数ですが当ブログタイトル「○○の風景」の○○を漢字で。

コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://mejiro.asablo.jp/blog/2014/08/02/7403967/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。